この2年間、シェールオイル採掘によってアメリカの原油生産量が大幅に増加してきた。技術革命によって、莫大な量の原油が採掘可能になり、アメリカは再びエネルギーが自給自足できるようになるのみならず、将来サウジアラビアを超えて石油輸出国になるのも夢ではない。
このようなことはアメリカのメディアに掲載されている。話が出来すぎていると思わないか。確かに生産量は予想以上に多いため、産業界を驚かせた。しかしそれに伴う代価は少なくない。まずこの図表を見てみよう。
以上は1本のシェールオイル生産井の1年あたりの生産量だ。年間生産量が始めの段階から激しく減少していることは明らかである。生産量を維持するには、絶え間なく新しい油井を掘削しなければならない。しかし、1本の油井は8百万ドルもかかって、普通の油井(中東など)に比べて遥かに高価だ。アメリカは2010年からそのような油井を毎年1500本も掘削してきた。それが長く続けられるかどうかはまた疑問だ。
そして、水平坑井掘削や水圧破砕などメディアから指摘されている「新しい」技術は四十年前から採用されてきて、実は成熟した技術だ。従って、この数年間に渡ってシェールオイルの生産拡大の要因は新しい技術ではなく石油価格の高騰ということだ。原油価格が1バレルあたり80ドル以上でなければ、シェールオイルは経済的に掘り出すことができない。
シェールオイル革命がここまでたどり続けたことから、石油会社は原油価格が絶対に下がらないことを信じていると推定できる。サウジアラビアならいざ知らず、アメリカや日本のようなエネルギー消費国は本当に石油価格高騰に耐えられるか。